EXHIBITION & EVENT

トークイベント「縄文の精霊、月と火山と蛇」

今回のお話し会では、「月」をキーワードに縄文土器や土偶をシンボリズムで読み解き、さらに「火山」や「蛇」をヒントに、古事記や日本書紀を紐解いていきます。月と火山と蛇から見える縄文の精霊。それはようやくひと巡りして、次の時代への新しい死生観を私たちに伝えてくれます。お話しは、写真家でストーリーテラーの赤阪友昭さんです。

わたしたちが暮らすこの日本には、先人たちが残してくれた様々な智慧と教えがあります。ただし、それらには長い年月をかけて何層ものレイヤーで覆われているため、なかなか感じることができません。たとえば、縄文土器や土偶に残された精神の記憶、それは月の記憶であり、生命の再生の祈りです。しかし、そこに辿りつくためには古代の記憶へ遡るツールが必要です。そのキーワードが、月と火山と蛇、ではないかと思っています。


今回のお話し会では、「月」をキーワードに縄文土器や土偶をシンボリズムで読み解き、さらに「火山」や「蛇」をヒントに、古事記や日本書紀を紐解いていきます。たとえば、日本神話が、創作された神々の物語ではなく、仮に史実であるとしたら、何が記されているのでしょう?日本では、毎年のように台風、地震、津波、火山噴火など様々な自然災害が起きては、多くの生命が失われています。現代のように災害を予測予知する技術がどれほど発達しようとも、どうしても避けることのできない災害が起こることも、私たちは体験してきました。こうした災害を被った人々は、こんな風に考えるかもしれません。「この災禍を次の世代に伝え、どのように避けるか、あるいは受け入れるかを智慧として残そう」と。記紀には、どうやら何万年単位で日本で起こったと思われる災禍を、史実として記録したように思える箇所が残されています。このヒントをくれたのは、私が通っているアラスカの先住民が伝承する神話でした。彼らの神話には、一万年から八千年前の史実が記録されています。だとすれば、日本の神話もそうである可能性があります。そして、史実としての神話を継承して今の私たちの世界が存在している、ともいえます。そして、神話は災禍だけではなく、災禍が恵みの種であることも伝えています。

今回、8月6日にこのお話し会を開催するのには、ひとつの願いがあるからです。
私たちは、地震や津波、火山噴火など自然による災禍と、戦争や原発事故など人による災禍を異なって捉えがちです。しかし、自然という立場から見たときに、それがどのような災禍であれ、起こった出来事は、時の流れと生命の循環の中で、土地の記憶の一部として次の世代へ受け継がれ、この世界をさらに豊かにしていくための一瞬一瞬です。未来の風景を決める羅針盤は、私たちの心ですが、磁北をどこに決めるかは過去をどのように認識するかです。過去に起こった災禍を希望の種とし、新たな死生観を持つことができれば、私たちの未来に見える風景はいまとは違っているかもしれない。自然から乖離するのではなく、自然と共に生きる、そのための羅針盤を手に入れたいと願うのです。ひとつの祈りとして。

 

赤阪友昭(あかさか・ともあき)
1963年 大阪市生まれ。1995年の阪神淡路大震災を機に写真家に転身する。1996年、モンゴルの遊牧民やアラスカ先住民との暮らしから撮影をはじめ、被写体に寄り添いながら長期にわたる取材活動を実施している。雑誌「コヨーテ」等に写真と文を寄稿し、NHKの番組制作、プラネタリウムのプログラム制作や国立民族学博物館での企画写真展、アイヌとアラスカ先住民の国際交流プロジェクトのプロデュースなど活動は多岐にわたる。東北の震災後は、文化庁の支援を受けた福島県立博物館の被災地支援プロジェクト「はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト」に参加し、変動し続ける福島の自然環境、特に立入制限区域内のランドスケープの記録撮影を続け、映像記録「水の記憶、土の記憶ー南相馬から」を南相馬市と共同制作する。また、福島の自然環境を再認識するために招聘したオランダのドキュメンタリー映画「新しい野生の地ーリワイルディング」は日本全国で劇場公開され、現在も各地で自主上映が続いている。現在は、国内外に残された原初の信仰、縄文文化や祭祀儀礼をテーマに撮影・取材。東京及び各地方においてスライドやトーク、講演活動などを定期的に開催。2009年より写真ギャラリー「photo gallery Sai」(大阪市福島区)を主宰。著作に北米海岸の先住民と向き合った10年をまとめた『The Myth – 神話の風景から – 』(松本工房刊)がある。
www.akasakatomoaki.net

 

【日時】2017/8/6(日)18:00~20:00(受付17:30より)
【出演】赤阪友昭
【料金】1,500円
【定員】30名
【会場】READAN DEAT

【お申込み方法】
以下のコンタクトフォームに題名を「赤阪さんトークイベント」として、メッセージ本文に
1. お名前 2. 参加人数 3. 電話番号 をご記入の上お申し込みください。また、お電話(082-961-4545)でも受付けております。

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    2017-07-14 | Posted in EXHIBITION & EVENTComments Closed