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おなみだぽいぽい

書籍の装画などを中心に活躍するイラストレーター・後藤美月さんが作った初めての絵本『おなみだぽいぽい』。学校の授業で先生の言うことが一人だけわからなかったねずみの女の子が、悲しい気持ちを抱えてひとり屋根裏へ行くと涙がぽろりとこぼれ落ちます。隠してあったパンのみみをハンカチ代わりに涙で湿らせて、それを天井の穴めがけて思い切りぽーいっと投げると、屋根の上にいた鳥がパンのみみをキャッチします。鳥はそっけなく塩気が足りないとコメント、するとねずみの女の子は意外な行動をとるのですが…続きはぜひ絵本を手にとってご覧ください。

後藤さんがずっとあたためてきたこのお話は自身の体験がベースになっています。周りは楽しそうなのにひとりぼっちな気持ち。どうやって解消すればいいのかわからないモヤモヤした気持ち。ナイーブでセンシティブな子ども時代を過ごしたことのある人にじわっと響くストーリーです。その一方、誰にでも受け入れられる絵本ではなく、実際に後藤さんがお知り合いに絵本を見てもらったところ、うまく共感してもらえなかったことがあるそうです。それでも、たとえ100人のうち1人にしか共感してもらえなかったとしても、その人に届くことができたらという想いが込められています。


原画ではコラージュを取り入れて描かれている様子がよく分かります。ちょっとノスタルジックで温かい絵は何年経っても色あせない魅力がありますが、わくわくする楽しいストーリーではないし、感動や教訓、明確なメッセージが込められているわけでもありません。それでも、そんな絵本だからこそ胸に静かに届くものがあります。小さなお子さんにはねずみの女の子の感情がまだ分からなかったとしても、いつかその日が訪れたときにすっと寄り添ってくれる一冊です。

2018-02-14 | Posted in BOOKSComments Closed 

 

【3/25】トークイベント あゆみ食堂のお弁当

「あゆみ食堂」はイベントや展示会でのケータリングを中心に、 季節ごとの美味しい食材を使って喜びのある食卓を届けてくれる、料理家・大塩あゆ美さんの出張食堂。朝日新聞デジタル「&w」の連載「あゆみ食堂のお弁当」は、全国から投稿された言葉にできないあの人への想いを、贈る相手を想像しながらあゆ美さんがお弁当に詰め込んだ人気コーナー。同名のタイトルで昨年一冊の本になりました。

今回のトークイベントでは、自由な発想で作られた見た目も美味しいお弁当にまつわるストーリーをはじめ、あゆみ食堂のこと、料理にまつわる思い出やエピソードなどいろいろお聞きします。あゆみ食堂特製ケーキ付、ケーキに合わせてブレンドしてもらったマウントコーヒーのコーヒー豆も販売いたします。

 


大塩あゆ美
出張料理 “あゆみ食堂” として、様々なイベント、展示会などでケータリングを行う。料理を食べる人、食べる環境、コンセプトに合わせて作る“オーダーメイドレシピ”も多く手がける。季節ごとの食材で楽しくおいしい食卓を作りながら、日本の生産者の食材と食べ手をつなぎたいと思いながら活動中。著書に朝日新聞デジタル&Wにて2年間連載した連載をまとめた“あゆみ食堂のお弁当 23人の手紙からうまれたレシピ”(文化出版局)がある。

 

【日時】2018/3/25(日)15:00~17:00(受付14:30より)
【料金】2,000円(あゆみ食堂特製ケーキ付き)
【定員】30名
【会場】READAN DEAT

【お申込み方法】
以下のコンタクトフォームに題名を「あゆみ食堂トークイベント」として、メッセージ本文に
1. お名前 2. 参加人数 3. 電話番号 をご記入の上お申し込みください。また、お電話(082-961-4545)でも受付けております。

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    上記の内容で送信してよろしいでしょうか?
    問題なければチェックをお願いいたします。

    コンタクトフォームから送信できない場合、上記と同じ項目を以下のメールアドレスにお送りください。
    info☆readan-deat.com  ☆は@に置き換えてください。

    2018-02-10 | Posted in EXHIBITION & EVENTComments Closed 

     

    【3/3】木太聡演奏会「不在の教会」

    トイピアノを用いた楽曲を多く発表する鍵盤奏者・木太聡。今回、大正時代に作られたYAMAHAのベビーオルガン(西洋ではハルモニウムと呼称)による演奏会を行います。

    木太聡 Akira Kita
    鍵盤奏者、トイピアニスト
    ミナペルホネン2015SSコレクション音楽等、楽曲提
    http://akira-kita.tumblr.com/

    【日時】2018/3/3(土)18:00~(受付17:30より)
    【料金】2,000円+1ドリンク
    【定員】25名
    【会場】READAN DEAT

    【お申込み方法】
    以下のコンタクトフォームに題名を「木太聡演奏会」として、メッセージ本文に
    1. お名前 2. 参加人数 3. 電話番号 をご記入の上お申し込みください。また、お電話(082-961-4545)でも受付けております。

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      上記の内容で送信してよろしいでしょうか?
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      2018-02-05 | Posted in EXHIBITION & EVENTComments Closed 

       

      シャツのはなし

      私服勤務という自分への口実もあり、会社員だった頃は服を買うことが大きな楽しみだった。それは休日に街へ出かけてお金を使うというストレス発散法でもあった。転勤で東京に引っ越してからはますます加熱し、気になるブランドをWEBや雑誌でチェックして緊張しながらセレクトショップを見て回った。地方から出てきて浮き足立っていることは十分自覚しつつ買い物を楽しんでいた。

      あるとき、初めて行ったお店で一枚のシャツに心をガシっと掴まれた。飾り気がなくそっけないけど気のきいたデザイン。当時そのブランドはブレイク前夜だったこともあり「自分が見つけた!」と勝手に思い込んでしまった。直営店で新商品をチェック、欲しいものが品切れのときは別の取扱い店で通販してまで買うようになっていた。元々は一枚のそのシャツが好きだったのに、いつしかブランドのタグが重要になっていた。そのうちの何着かは数回しか着ないままクローゼットで出番を待っている。

      世の中に溢れかえる商品の中から何かを選ぶとき、その背景にあるストーリーを重視することがある。社会貢献している企業への共感として商品を買うとき、情熱を持った作り手へのエールとしてお金を使うとき、単純に商品を買うときと比べて満足度が高い。

      少し話は逸れるけど、目標実現のための資金をネット上で募るクラウドファウンディングで絵本を出版したいというプロジェクトをたまたま知り、強い想いに共感して少額ながら支援したことがあった。目標達成までを見守り、プロジェクト成功後に絵本が手元に届いたときは感慨もひとしおだった。

      ただ、誠実に心を動かすストーリーは素晴らしいけれど、巧みに演出されたストーリーには意識的になりたいと思う。言い換えると、感情に訴えかけてくるストーリーに捉われず、商品そのものを見定める力を持ちたい。どんなメーカーがどんなコンセプトで作ったのかという情報だけで判断せず、どんな材質で、どんな工程で作られたのかという基本的な情報を用いて、冷静に、ある意味ドライに物自体と向き合いたい。

      それでもたまにブランドやストーリーも何もかもすっ飛ばして心を奪われる出会いがある。今では袖が擦り切れてくたくたになってなお愛着が増す最初のシャツがそうだった。その出会いを見過ごさないためにできることは、調べて出かけて身銭を切って向き合って勉強すること。そう思えば東京での散財にも言い訳がつく、そんな気がします。

      2018-01-23 | Posted in THANK YOUComments Closed 

       

      新宿(コラージュ)


      広島出身のアートディレクター/グラフィックデザイナー・吉田昌平さんの『新宿(コラージュ)』は、写真家・森山大道の代表作『新宿』を解体し、全ページを素材としてコラージュした作品集。森山氏が捉えた新宿という雑多な街の風景を、ストリートスナップと同じ偶然性をもって、切って、貼って、剥がすを繰り返し、再構築した 〈もうひとつの新宿〉です。

      切る、貼る、剥がす。
      時間、場所、感情、匂い、全てを混ぜ、
      感応の赴くままに、いまを層にする。
      そこに思索なんていらない。
      これは私の“欲”であり、“衝動”である。

      『Shinjuku(collage)』より

      田さんは「一番かっこいい位置はどこだろう」と紙の上に切り抜いた文字を配置するアナログなデザインの自主練をしているうち、だんだん物足りなくなり、廃品回収に出されていた古雑誌でコラージュ作品を制作し始めました。多種多様な紙切れを積み重ねて配置した作品は、下の層がチラリと見えてたり細かなパーツで一部分が盛り上がっていたり、それぞれが有機的に重なり合っています。

      吉田さんは雑誌BRUTUS森山大道特集の企画でコラージュ作品を制作、もっと向き合いたいと思い写真集『新宿』を買ってきて130点近くのコラージュを個人的に作りました。怒られること覚悟で森山氏に見てもらうと高評価で作品集を作ることを決意、その後偶然ブックコーディネイター・内沼晋太郎さんと出会い、numabooksの出版第1弾として作品集『新宿(コラージュ)』を刊行します。


      分厚いスリップケースの背表紙のみに情報が集約された異彩を放つブックデザインは吉田さん自らによるもの。紙の集合体としての「白い立体」のなかに収められた、刊行から15年後の現代にチューニングされたもうひとつの『新宿』は、吉田さんの作品でもあり、切り貼りされてなお強烈な森山作品でもあります。

      ¥5,800+税(WEB SHOP

      2018-01-21 | Posted in BOOKSComments Closed