BOOKS
ヒロイヨミ社の本
ブックデザイナー山元伸子さんによるヒロイヨミ社の本は、とてもシンプルな作り。
製本は三つの穴に糸を通しただけの綴じだったり、もしくは綴じていなかったり。
慎ましいデザインとレイアウトは活版印刷で生み出される美しい言葉を引き立てます。
指先で感じるしっとり、ざらり、つるりとした質感。
本にあわせて様々な紙が使われていて、この頁をめくる楽しみは電子書籍では味わえません。
『春の詩集』¥2,200-
立原道造、中原中也、山村暮鳥らの春の詩七篇に解説が添えられています。
『白の詩集』 ¥1,800-
白をテーマに北園克衛、春山行夫、中原中也ほか、九つの詩がおさめられています。
『山之口貘 猫/ねずみ/りんね』 ¥1,200-
沖縄を代表する詩人、山之口貘の詩三編に解説が添えられています。
『恋文』 ¥1,300-
有島武郎、島崎藤村、若山牧水、島村抱月、四人の文豪・詩人がかつての恋人に宛てた恋文。
『LETTERS』 ¥3,600-
アンティークショップ「IONIO&ETNA」も営む画家・狩野岳朗との共作。
フロイト、ドビュッシー、ルイス・キャロルなど過去の偉人たちの手紙をまとめた作品。
世に出て幾分かの時が経った言葉たちが、活字となって新たな息吹をしているように感じられます。
here and there
ファッションとアートのインディペンデントなあり方を追い続けてきた編集者・林央子さんによる
個人雑誌『here and there』。先日3年ぶりとなる待望の最新号が刊行されました。
アーティストとの親密な関係性をもとに独自の視点で書かれた文章はあたたかく、
それぞれが表現することの本質を細やかにとらえているようです。
昨年、水水戸芸術館現代美術センター、猪熊弦一郎現代美術館の二カ所で開催された
「拡張するファッション展」制作直前のドキュメントや、
映像による作品を発表するアーティスト・志村信裕さんとの交流によりうまれたエッセイも収録。
プロフェッショナルな精神で昇華されたアマチュアリズムと言うか、
うまく表現できないのですが、読んでいて背中を押されるような雑誌です。
here and there vol.12 ¥1,800+税(WEB SHOP)
good copy / 志村信裕 ¥1,700+税(WEB SHOP)
今号の『here and there』でも度々登場する志村さんのデビューから10年間の軌跡、
代表作22点を厳選して収録した作品集。
Les Chroniques Purple ¥2,900+税(WEB SHOP)
林央子さんの盟友とも言える、フランスのインディペンデントマガジン『Purple』を創った
エレン・フライスの最新刊。2013年から一年間だけ立ち上げられたwebサイト
『Les Chroniques Purple』のなかから厳選された記事を書籍化。日本語訳付です。
グレアム・ミックニーさんのZINE
ウェブマガジンcolocalの連載「グレアムさんの神戸日記」も好評の
スコットランド出身・日本在住12年、Graeme Mcnee(グレアム・ミックニー)さんのZINE。
ざらっとした質感のわら半紙に二色のリソグラフ印刷。シンプルで親しみのある絵にぴったりです。
神戸15 ¥1,200+税
2007年から神戸で暮らすグレアムさんが、「何もない静かな日に訪れるのにぴったり」という
オススメの15カ所を紹介してくれるガイドブックのようなzine。
スコットランドのいろいろ1 ¥1,000+税
グレアムさんが故郷のスコットランドのことを知ってもらおうと
歴史、文化、生活習慣をわかりやすくまとめたコミックエッセイ。
minimal comics ¥1,000+税
2011-2013の間に描いたとウェブで発表したシリーズ「Minimal Comics」の400本の中から
グレアムさんお気に入りの40本を収録。
kumayama mountain, 1993 ¥700+税(WEB SHOP)
修学旅行に森の中で迷子になってしまった子供たちを描いたショートストーリー。
Style And Fashion Zine 1 ¥1,500+税(WEB SHOP)
ロサンゼルスと大阪を拠点に活動するカートゥーンアーティストRyan Cecil Smithと共作した、
大阪の街の人々をストリートスナップのようにスケッチしたzine。
世界のはじまり
『夜の木』の画家のひとりとして多くの読者を魅了し続けている
現代ゴンド・アートの第一人者バッジュ・シャームが、
中央インドのゴンド民族に伝わる創造神話の豊かな世界に分け入り、
人々の日々の暮らしに息づく数多の物語の本質をすくい上げ、
壮大なスケールで描き上げた画期的な絵本。
ギーター・ヴォルフが紡ぎだす詩的で端正な文章が、
青木恵都のみずみずしい日本語で訳出され、私たちを深淵な神話的世界へいざなう。
水がほとばしり出て、大気が渦巻き、大地が生まれ、時が刻まれる。
季節がめぐり、命が生まれ、芸術が誕生する。そして死が…。
しかし、終わりの後には新たな始まりがやって来る。
インドのターラー・ブックスで出版された Creation (2014) の日本語版。
『夜の木』(タムラ堂)と同様に、南インドの小さな工房で、古布を材料とした手漉きの紙に、
シルクスクリーン印刷で刷られ、さらに手作業による製本で、1冊ずつ丁寧に仕上げられている。
手のぬくもりに包まれた、まるで工芸品のような絵本。(シリアルナンバー入り)
『世界のはじまり』(原題 Creation)のメイキング映像では
作者のバッジュ・シャームの生の声や、印刷や製本のプロセスを見ることができます。
¥3,600+税
WEB SHOP
ELVIS PRESSの新刊
名古屋のbook shop、ON READINGさんの出版レーベル、
ELVIS PRESSから2タイトル同時刊行で新刊が届きました。
どちらもペーパーバックの持ち運びしやすいサイズなので
行きつけのカフェでも、寝る前のベッド上でも、気軽に楽しめます。
(between) YOU & ME / 塩川いづみ ¥1,400+税(WEB SHOP)
イラストレーター 塩川いづみさんの、飼い主とペットをテーマにしたポートレート集。
人と動物。時に相棒のような、子どものような、恋人のような、親友のようなかけがえのない存在。
「あなた」と「私」の間には、傍からみると笑ってしまうような濃密な時間と、
ふたりだけの物語が詰まっています。
This is Sports / 田口美早紀 ¥1,300+税(WEB SHOP)
雑誌、書籍の挿画などで活躍中の大阪在住のイラストレーター、
田口美早紀(おたぐち)の作品集。
本作は、タイトル通り、スポーツがテーマ。バスケットボール、サッカー、
陸上、プロレスなどのシーンを、軽く二度見してしまうような
ユーモラスなキャラクターたちで描いたスポーツ図鑑的1冊。
塩川いづみさんが参加するプロジェクト、meme(ミーム)の日記スタイルの作品集には
リガで出会った人たちのポートレートや、旅の記録がたっぷり。こちらは土曜社さんから刊行。
3着の日記 memeが旅したRIGA ¥1,870+税(WEB SHOP)
2013年秋、meme(ミーム)の3着の白いドレスがラトビア共和国の首都リガへ旅立ちました。
滞在中、白いドレスに、が日記を記し、出会った人々の手でドローイングが描き足され、
リガの街を記憶する「3着のダイアリードレス」ができあがります。
このダイアリードレスをめぐる旅の記録を、
それぞれが作家としても人気のmemeが、絵と写真でつづります。
昨年7月に原画を展示させてもらったfancomiさんの作品集。こちらもELVIS PRESSから。
BOKU no HON / fancomi ¥1,200+税(WEB SHOP)
想像、妄想によって生み出された「余白」のある数々の風景、イメージが洗練された
シンプルな線で描かれた「本」をテーマにした作品集。
「そこにあるはずの」「あるかもしれない」物や、事柄、物語を想像せずにはいられない。
はっきりとはわからない、だから ずっと眺めてしまう。いつまで眺めていても終わりのない、
イマジネーションの扉を解放する一冊。
自分たちが良いと思えるものをアーティストたちと一緒に、
「本」というかたちで表現している、かっこいいインディペンデントレーベルです。