EXHIBITION & EVENT

オンライントーク「生活工芸と雑誌メディア」

お知らせ(8/18)
開催を延期しておりました本イベントは、状況を考慮した結果、9/30(水) の19時より、東京と広島を繋いだオンライントークにて開催することにいたしました。お申込みはこちらからお願いいたします。

“生活工芸はそれからしばらく後の九〇年代、バブル崩壊以降に始まったと言います。非日常から日常へという流れは、景気悪化でさらにはっきりと姿を現した。(中略)そして生活工芸はこの「暮らし系」の流れになるのだと思います。彼らが、そして僕らが、大きな物語がなくなり人々が共通の繋がりを失ってバラバラになった、そんな社会のなかで選んだ生き方が、ある程度狭くても仕方がない、「身の丈にあった生き方をしよう」というものだったのではないでしょうか。”
(三谷龍二「はじめに」『工芸批評』)

“「暮らし系」ムーブメントの主体となり、その運動を牽引したのが主に(大人の)女性であったこと、この事実はいくら強調してもし過ぎることはない。このムーブメントを広め、リードした雑誌『ku:nel(クウネル)』(二〇〇三年創刊)のキャッチコピーは「ストーリーのあるモノと暮らし」。その内容が指し示すのは、自分の身の回りにあるさまざまな事物の中に「物語」を見いだすことで、日々の生活の中に肯定的な価値を発見しようというメッセージだ。”
(井出幸亮「『ライフスタイル』がブームである」『「生活工芸」の時代』)

木工家の三谷龍二さんと、工芸誌『Subsequence』編集長の井出幸亮さんの上記の引用文を参考にすると、「生活工芸」は身の丈にあった生き方を大切にする「暮らし系」ムーブメントのなかで支持され、その運動におけるバイブル的存在が『ku:nel』でした。今回のトークイベントは二部構成で、「生活工芸」と「雑誌メディア」の関係性に迫ります。登壇者として、前出の井出幸亮さんに加え、『工芸青花』編集長の菅野康晴さん、メディア文化史を専門とする研究者の阿部純さん、画家のnakabanさんをお招きします。

第一部では、暮らし系雑誌について研究を行う阿部さんを中心に、暮らし系雑誌が注目されるようになった2000年代を基点として、資料を元にその歴史や社会への影響について考察し、生活工芸との関係性を紐解いていきます。雑誌の仕事に数多く携わってきた井出さん、nakabanさんには当事者としてのお話も伺います。

第二部では、井出さんと菅野さんを中心に、「生活工芸派」の作家視点も交えながら、生活工芸と雑誌や出版物の関係性について見解をお聞きします。また、編集長という立場からそれぞれの工芸誌が担う役割や、誌面を通して読者に何を伝えるのか、お話を伺います。

進行役として、READAN DEAT 店主・清政光博もお話させていただきます。一部・二部とも、生活工芸の作り手視点だけでなく、使い手(=消費者)視点も交えながら、出来るだけ全体像を俯瞰し、生活工芸の行方について考察していきます。

井出幸亮(いで・こうすけ)
編集者。1975年大阪府生れ。雑誌『BRUTUS』『POPEYE』(ともにマガジンハウス)ほか雑誌、書籍その他で編集・執筆活動中。著書に『アラスカへ行きたい』(石塚元太良との共著/新潮社)。主な編集仕事に『ズームイン、服』(坂口恭平著 / マガジンハウス)、『My Archive』(中村ヒロキ著 / マガジンハウス)など。『「生活工芸」の時代』(三谷龍二編 / 新潮社)では日本雑貨論を執筆。『Subsequence』編集長。

菅野康晴(すがの・やすはる)
『工芸青花』編集長。1968年生れ。1993年新潮社入社。『芸術新潮』及び「とんぼの本」シリーズの編集部に在籍し、美術・工芸・建築を主に多くの企画を手がける。担当した本に、川瀬敏郎『一日一花』、坂田和實『ひとりよがりのものさし』、中村好文『住宅読本』、金沢百枝・小澤実『イタリア古寺巡礼』、木村宗慎『利休入門』、三谷龍二他『「生活工芸」の時代』など。2014年に「青花の会」を始める。共著に『工芸批評』(新潮社青花の会)。

阿部純(あべ・じゅん)
1982年生まれ、東京都出身。広島経済大学メディアビジネス学部准教授。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。専門はメディア文化史。研究対象は、墓に始まり、現在は各地のzineを収集しながらライフスタイル研究を進める。共著に『現代メディア・イベント論―パブリック・ビューイングからゲーム実況まで』(勁草書房)、『文化人とは何か?』(東京書籍)など。
2017年からは「住まいマガジン びお」にて「『ていねいな暮らし』カタログ」を連載中。現在住んでいる尾道では『AIR zine』という小さな冊子の制作も行っている。
http://air-zine.tumblr.com

nakaban(なかばん)
画家。広島市在住。絵画、書籍の装画、文章、絵本を発表している。
主な著作に絵本『よるのむこう』(白泉社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著 / ナナロク社)『ランベルマイユコーヒー店』(オクノ修作 / ミシマ社) など。

日時:9/30(水) 19:00~20: 30
料金:1,500円

お申込みはこちらからお願いいたします。

2020-08-18 | Posted in EXHIBITION & EVENTComments Closed